佐賀県の有田焼は江戸時代初期に始まりました。骨董の世界では有田の窯元のやきものも「古伊万里」と佐賀県伊万里の名で呼ばれますが、これは当時輸出する際に、伊万里港から積み出されていたため。伊万里焼と有田焼の区別を厳密にするものはなく、現在、経済産業大臣指定伝統的工芸品には「伊万里・有田焼」と登録されています。
有田や伊万里には現在も多くの窯元が存続していますが、その中で「しん窯」は天保年間(1830-44)に有田皿山外山で鍋島藩(佐賀藩)の窯元として始まりました。
有田焼の特徴は、白い磁器に華やかな絵付。青1色のものを「染付(そめつけ)、多彩が色絵(赤が中心のは赤絵とも)と呼びますが、「しん窯」の看板は染付です。「青花(せいか)」ブランドとして、青を用い、手描きで描きつづけています。ちなみに中国では染付のことを青花と呼びます。
「しん窯」の魅力は、工房を開放しており、熟練の職人の技を間近で見学できることです。自由に見てまわることもできますし、事前にお願いすれば、有料となってしまいますが、スタッフによる案内・解説もあります。
見どころは絵付。ここではプリントなどを一切使用せず、伝統的な手法で、一つずつ手描きしています。中でも「濃み(だみ)」と呼ばれる工程では、びっくりする程太い筆の先端を使用して、広い面をムラなく塗りますので、ぜひ見てみてください。
さらに、陶芸体験、展示場での直売があります。器は手に取ってみると、違いが分かるものです。ぜひ日常使いに自分で選んだ器を使ってみてください。
「しん窯」の器は、種類が豊富です。手描きの温もりのある伝統的な意匠から、モダンなもの、愛らしいデザインもありますし、器種も、昔ながらのお茶碗やそば猪口もあれば、現代の暮らしに合わせたスープやグラタン、カレー皿、さらに‘はやり’のタジン鍋も人気です。
その中でチェックしていただきたいのが、「ユニバーサルデザイン」。お子様やご年配の方、体にハンディのある方にも使いやすく、しかも洒落たデザインの本格派の食器を、作業療法士と熟練の職人が共同開発しました。贈りものにすれば、大変喜ばれる逸品です。
しん窯 | 佐賀県西松浦郡有田町黒牟田丙2788 | |
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http://shingama.com/shingama.html | ||
アクセス | お車の場合 | 西九州自動車道 波佐見有田I.C.より約10分 |
公共交通の場合 | JR有田駅より徒歩30分 JR有田駅よりタクシーで5分 | |
入場について | ★予約不要 | 気軽にお立ち寄りいただけます |
営業時間 | 8:00〜17:00 | |
休日 | 年中無休(工房は土日祝は休日) | |
施設 | 工場(工房)見学 | 自由見学/案内希望の場合は予約が必要です |
売店 | 展示場 | |
体験 | 体験工房「花座」:ロクロ・手びねり体験、らく焼(絵付)体験 |
「しん窯」のある佐賀県有田は、窯業地として人気の観光地であり、特に春と秋の陶器まつりの期間には全国からたくさんの観光客が集まります。陶器まつりの時は、たくさんの窯元がブースを出店しますので、どうしてもショッピングが中心となってしまいますが、ここではショッピング以外の観光スポットもご紹介しましょう。
まずは「陶山神社」。有田焼陶祖を祀っています。鳥居や狛犬、欄干など、有田焼のものが溢れており、お守りや絵馬も有田焼のものが販売されています。
陶磁器のテーマパーク「有田ポーセリンパーク」も見どころ満載です。ドイツのツヴィンガー宮殿を再現した建物やバロック庭園があり、有田焼の名品の展示、有田焼工房、そしてレストランやカフェもあります。
最後は「佐賀県立九州陶磁文化館」。九州陶磁の名品を数多く収蔵・展示しています。